階段3.5㎡なら、3.5㎡全部を減価するのか
説明用の架空例として、専有面積70㎡、そのうち階段部分が3.5㎡のメゾネットを考えます。
階段部分を通常の居室とまったく同じ100%の効用で評価するのも、反対に0㎡として扱うのも極端です。
仮に、説明上の例として階段部分の効用を50%と置いた場合、
3.5㎡ ×(100%-50%)=1.75㎡分
の効用差がある、と考えることができます。
70㎡全体に対して約2.5%です。
ただし、これは査定方法を説明するための架空の仮定です。
「階段は50%評価」という固定基準があるわけではありません。
また、約2.5%という数字を、そのまま売却価格から2.5%減らすわけでもありません。
実際の査定では、階段だけでなく住戸全体の商品性を見ます。
だから売主は、メゾネットを理由に減価された場合、
と確認できます。
数字の大小より、その査定ロジックが自室の実態と合っているかを見ることが重要です。
階段下収納が使えるなら、同じ部分を二重に減価しない
階段があることで、フラット住戸より自由に使える床面積が減る場合があります。
一方で、階段下が収納として有効に使われている住戸もあります。
その場合、
「階段があるから減価」
「階段下も使いにくいからさらに減価」
と機械的に重ねると、同じ要素を二重に評価してしまう可能性があります。
売主は査定時に、
- 階段が実際に占める範囲
- 階段下の用途
- 収納としての使いやすさ
- 階段位置による他の居室への影響
まで確認してください。
図面上の階段記号だけではなく、そのスペースが実際にどう使われているかを査定へ反映できているかがポイントです。
同じ70㎡でも「各階に何㎡あるか」で使い方は変わる
メゾネットでは総専有面積だけでは住戸の使いやすさを説明できません。
たとえば70㎡でも、
- LDKがある階に十分な面積がある
- 寝室階と生活階が明確に分かれている
- 水回りが生活動線上使いやすい
住戸と、
- LDK階が狭い
- 上下移動が頻繁に必要
- 水回りと寝室の配置が生活に合いにくい
住戸では、買主の感じ方が変わります。
したがって売主は、査定書の「70㎡」だけを見るのではなく、
「上階と下階それぞれ何㎡で、何に使われているか」
まで分解してください。
フラット住戸との価格差を説明するなら、この生活上の違いまで説明できる必要があります。
1階+地下1階型は「地下だから○%減」ではない
1階+地下1階型のメゾネットでは、地下階の評価が重要になります。
しかし、
「地下だから85%」
など、固定率をそのまま当てはめる考え方は避けるべきです。
確認したいのは、
- 採光
- ドライエリア
- 天井高
- 換気
- 湿気
- 地下階の用途
- 1階とのつながり
です。
地下階が暗く、換気しにくい寝室なのか。
ドライエリアから採光が取れ、落ち着いた居室やワークスペースとして使えるのか。
同じ「地下1階」でも効用は変わります。
売主は「地下だから何%安いですか」と聞くより、
と確認する方が査定根拠を理解できます。
高層階メゾネットは別の要素を見る
23階+24階のような高層メゾネットなら、地下階による評価は当然ありません。
代わりに、
- 眺望
- 採光
- 開放感
- 上階・下階それぞれの用途
- 階段移動
- 水回り
- 生活動線
などを見ます。
上下階に分かれていることが生活上の負担になる場合もあれば、空間の分離や開放感が商品性につながる場合もあります。
したがって、低層・地下型メゾネットの補正を、そのまま高層メゾネットへ持ち込むことはできません。
売主は、自室と同じ「メゾネット」という名称の事例ではなく、構成・階数・用途まで近い住戸が比較対象になっているかを確認してください。
メゾネットだから比較対象もメゾネットだけ、とは限らない
実際の買主は「メゾネットだけ」を探しているとは限りません。
同じ予算、同じエリア、同程度の専有面積なら、フラット住戸と比較することもあります。
だから査定でも、
「近隣のメゾネットはいくらか」
だけでなく、
同じ買主が比較するフラット住戸に対して、自室のどこがプラスで、どこがマイナスなのか
を見る必要があります。
売主は比較事例について、
- 同程度の総額か
- 同程度の専有面積か
- 同じような立地か
- フラット住戸ならどれが競合するか
- メゾネットの特徴を価格へどう反映したか
を確認してください。
まとめ|「10%安い」と言われたら、その10%を分解する
メゾネットの査定で重要なのは、
メゾネット=一律○%減
という係数を探すことではありません。
たとえば10%減という査定なら、
- 階段による効用差はどの程度か
- 階段下収納はどう評価したか
- 各階の面積配分はどう見たか
- LDK・寝室・水回りの配置はどう評価したか
- 採光や開放感はどう評価したか
- 地下階ならどの条件を減価したか
- 高層型なら眺望等をどう評価したか
- どのフラット住戸と比較したか
まで分解して確認します。
これが売主が査定時に使える重要な質問です。
減価率そのものではなく、その数字が自室の実際の使われ方・買主評価から導かれているかを確認してから、値付けを考えてください。