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マンション売却ガイド

マンション売却前にリフォームは必要?現況販売との判断基準

「売却前にリフォームした方が高く売れるのか」

マンション売却を控えた売主なら、誰もが一度は考える質問です。インターネットには「リフォーム済み物件は高く売れる」という情報もあれば、「古い状態でも買い手はいる」という主張もあります。一方で不動産会社から「この部屋のリフォームには1,000万円以上かかる」と聞かされると、判断に迷います。

この問題の本質は「リフォームするか、しないか」という二者択一ではありません。

現在の内装状態が市場でどの程度の価格差として評価されるのかを把握したうえで、現況販売なのか部分修繕なのか全面改装なのかを判断する。

同じマンションで条件がほぼ同じのリノベーション済み住戸が販売されていれば、その価格差から学べることがあります。工事費そのものではなく、買主が実際に支払う意思のある「市場価格差」を見極めることが、売却判断につながります。

目次
  1. そのままでも十分に商品になる場合(CASE A)
  2. 全体的に内装の劣化が進んでいる場合(CASE B)
  3. 全体はきれいだが、一部の設備だけ壊れている場合(CASE C)
  4. 同じマンションのリノベ済み住戸とどう比較するか
  5. 価格だけでなく売れるまでの時間も考える
  6. 査定では内装状態の価格差を聞く
  7. まとめ

そのままでも十分に商品になる場合(CASE A)

全体として内装状態が良好で、通常の中古住宅として十分に検討できる状態です。5年前にリノベーションしたばかり、定期的にメンテナンスされている、大きな汚損や破損がない、といった場合です。

この状況では、売却のためだけに無理にリフォームする必要性は低い傾向があります。

同じマンションに条件の近いリノベーション済み住戸があるなら、その価格は重要な参考になります。自室が十分きれいなのにリノベ済み住戸より大幅に安く査定されているなら、本当にそこまで内装状態に差があるのか確認してみてください。価格差が大きくないなら、売却のために多額のリフォームをする必要性は低いでしょう。

全体的に内装の劣化が進んでいる場合(CASE B)

水回り、床、壁、建具、設備、配管に至るまで、全面的な更新が必要な状態です。築30年を超えるマンションで、過去にリノベーションされていない部屋が該当します。

この場合、クロスだけ張り替える、床の一部だけ補修する、一部の設備だけ新しくするといった部分的な工事では、住宅全体の商品性がほとんど改善しません。小さな投資で大きな改善を期待できないため、選択肢は現況販売か全面改装かのいずれかになります。

現況販売を選べば、買主は「リノベーション前提で購入する」という意識で判断します。少なくとも売却前のリフォーム投資は不要です。

全面改装を選択した場合、内装・設備を全面的に更新した状態で販売することになります。購入後すぐに住みたい買主にも検討されやすくなります。

70㎡前後の住戸を床下配管なども含めてスケルトン状態から全面的にリノベーションする場合、工事範囲や仕様、施工会社によっては1,500万円前後、あるいはそれ以上の費用になるケースもあります。その投資に見合う価格差が本当に出るのか確認してから判断する必要があります。

全体はきれいだが、一部の設備だけ壊れている場合(CASE C)

一方、全体はきれいなのに、一部の設備だけ壊れている場合は話が違います。

浴室の給湯器が故障している、天井カセット型エアコンが効かない、トイレの便座が故障している、といった状況です。

買主には工事費が正確にわかりません。給湯器が故障していると聞いて、実際には相見積もりで15万円程度で交換できるかもしれませんが、買主は50万円くらいかかるのではないかと不安に思うかもしれません。その不確実性が、買主の値引き要求につながります。

売主側で修理・交換を済ませていれば、この不確実性が消えます。小額で直せる問題が必要以上の値引き材料になっているなら、先に直す価値があります。

部屋全体が古い場合、給湯器だけ新品にしても部屋全体の評価はあまり変わりません。しかし部屋全体はきれいで給湯器だけ壊れているなら、その1点を直すだけで買主の不安をなくせることがあります。

同じマンションのリノベ済み住戸とどう比較するか

売却前リフォーム判断の最も実用的なデータは、同一マンション内の比較にあります。

あなたのマンションで面積、階層、向き、間取りがほぼ同じのリノベーション済み住戸が販売されているなら、買主はこの2つを同時に比較します。

重要なのは、買主の判断基準です。「リノベ済み住戸の価格」と「現況住戸の価格」という金額だけでなく、買主は「この現況住戸を買って、自分たちで改装するとしたら、トータルでいくら必要か」という取得総額で考えています。

工事費を売出価格から単純に差し引くのではなく、買主から見た「完成済み住戸を買う総額」と「現況住戸を買って直す総額」を比較することになります。その比較の中で、買主の検討対象に入るのか、それとも外れるのかが決まります。

不動産会社の査定では、この同一マンション内の競合物件を細かく比較しているはずです。「同じマンションだから同じ㎡単価」という単純な査定では不十分です。

価格だけでなく売れるまでの時間も考える

売却判断には、価格だけでなく時間軸も存在します。

リノベーション前提で中古マンションを探している買主もいれば、購入後すぐに住める状態を希望する買主もいます。内装状態は、検討対象になる買主の幅に影響し、販売期間にも影響することがあります。

現況販売では、購入後に自分でリノベーションしたい買主に検討されやすくなります。全面改装して販売すれば、そのまま住める状態を重視する買主にも検討されやすくなります。

ただし現況販売だから必ず販売期間が長期化するわけではありません。マンションの人気、立地、希少性、価格設定、同一マンション内の競合状況といった複数の要因で販売期間は決まります。

査定では内装状態の価格差を聞く

不動産会社から査定を受ける際、単に「査定価格はいくらか」だけでなく、その価格がどのような根拠で決まっているのかを確認することが重要です。

売主が聞くべき質問は、「リノベーション済みの住戸と比較したとき、私の部屋の内装状態をどの程度の価格差として評価していますか?」です。

その説明として、以下が確認できれば十分です。

  • 同一マンション内またはエリア内の実際の比較物件
  • 現況とリノベーション済み住戸の市場価格差
  • あなたの部屋の劣化程度評価
  • 想定される工事範囲・費用感
  • 現在の競合状況

不動産会社が、同一マンション内の競合物件を細かく比較し、内装状態の違いが市場でどう評価されているかを説明できるなら、査定の信頼度が高いと考えられます。

まとめ

マンション売却前のリフォーム判断に、正解は1つではありません。

現況販売が最適なケースもあれば、部分修繕で十分なケースもあり、全面リノベーションが合理的なケースもあります。

現在の内装状態をどう評価するか(CASE A/B/Cのどこに該当するか)、比較市場でどの程度の価格差になるか、その価格差と工事費・販売期間をどう比較するか、という順序で判断してください。

このプロセスを通じて、あなたの物件では「何をすべきか」が見えてきます。

この記事を書いた人

大橋 功季
大橋 功季株式会社クラウドマーケット 代表取締役

株式会社クラウドマーケット代表取締役。マンションの売却査定、売買仲介、販売戦略の設計など、不動産売買の現場で日々お客様と向き合っています。NTTデータ勤務を経て独立後、システム開発・Webマーケティング事業も手がけてきた経験から、データ分析やWeb集客の考え方を不動産売買にも取り入れています。実際の売却現場で感じる「分かりにくさ」を少しでも減らしたいという思いから、マンション売却メディア「マチPort」を運営しています。

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